CAEのお仕事

【現役エンジニアが教える】CAEってどんな仕事?作業の流れを簡単解説!【CAE技術者】

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こんにちは、アルト(@hobbyALTO)です!

みなさんはCAEという言葉を聞いたことがありますか?

CAEは現代のモノづくりでは、どんな製品を設計するにしても取り入れられている技術の一つです。

ボクは学生時代の専攻から現職までCAEに携わっているのですが、知り合いに仕事の話をしてもどんな仕事なのかわかってもらえていないことが多いなぁ、という印象なんですよね(汗

嫁ちゃん

CAEってどんなことしてるのかよくわからないよね
むずかしそうなことをしているのはわかるけど(笑

たしかに一般的にみるとそんな感じかもしれないね。

実際、ウチでも嫁ちゃんからこんな風に言われてしまいます(汗

そこで、今回はCAEってどんな仕事なのか、どんな作業をしているのかを簡単に紹介していこうと思います。

それではさっそく話していきましょう!

CAEってどんなことやるの?

CAEの分野について

CAEとは、さまざまな世の中の現象をコンピューター上でシミュレーションする分野のことを言います。

CAE(英:computer-aided engineering、シーエーイー)は、コンピュータによって支援された、製品の設計・製造や工程設計の事前検討などといったエンジニアリングの作業のこと。あるいはそのためのソフトウェアやツール等を指す場合もある。計算機援用工学(けいさんきえんようこうがく)ともよばれる。

引用元: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
嫁ちゃん

wikiを読んでもよくわからないね(。´・ω・)?

一口にCAEと言っても多くの分野に分かれており、分野によってシミュレーションする内容も変わってきます。

  • モノの強度や剛性をシミュレーションする構造解析
  • 風や液体などの流れをシミュレーションする流体解析
  • モノの落下や衝突時の破壊などをシミュレーションする衝撃解析
  • 熱の伝わり方をシミュレーションする伝熱解析
  • etc…

など、分野によってシミュレーションできる内容も様々です。解析の種類は例を挙げだすとキリがないほど現代では存在しています。

数値解析と呼ばれることも

また、CAEは「数値解析」と呼ばれたりもします。CAEではさまざまなシチュエーションでの解析をするのですが、結果として得られるものは何かしらの数値で表されることが多いです。

あまり普段の生活では聞き馴染みが無いかもしれませんが、どれだけの力が加わったのかを表す応力であったり、どれだけモノが変形したのかを表すひずみであったり、どれだけの速さで流体が流れているのかを表す流速であったり…専門的な勉強をしていないと理解しきれないような専門用語がたくさんでてきます。

嫁ちゃん

理系が全然わからない私からしたらもはや呪文だよ…(汗

応力やひずみなんて普通に生活してたら聞くことはないもんね。

それらの値がどれだけの大きさになっているのかを評価するのがCAEという訳ですね。
値で示すためには定量的に(数値で表現できるモノで)判断する必要があるので数値解析なんて呼ばれます。

数値で比較できないと、シミュレーション結果の比較もできませんからね。

イメージやアニメーションで判断する場合もある

ですが、すべてが数値で評価するという訳ではなく、視覚的に判断できる分野もあります。

流体解析では風の流れを流線と呼ばれる風の流れを表すイメージで評価することもありますし、衝撃解析では物体がどの部分から破壊されるかをアニメーションで判断したりもします。

こんな感じで色分けされているイメージを見たことはありませんか?

引用元:CAEソリューション : JSOL
嫁ちゃん

こういうのは見たことあるよ!
体温とかのサーモグラフィーもこんな感じだよね!

そうそう!
これは赤い所に力が加わっていることを示してるんだよ!

実はこれらも結果の数値を見やすくするためにイメージにしたり、アニメーションにしてみたりしているだけで、解析結果で得られた数値から作成していることには変わりないので、実際には数値で判断しているということになります。

実際にどんな作業をするの?

嫁ちゃん

あのカラフルなイメージってどうやって作ってるの?
っていうかアルトの仕事ってどんなことやってるの??(笑

じゃあここからは実際の作業の流れを紹介するよ!

CADで解析する”モノ”の形状を作成

まず最初にする作業がCADで解析する対象の形状を作成することからはじまります。

分野によっては2D(平面)で形状を作成することもあるかもしれませんが、多くの分野では3D(立体的)で作成することが多いでしょう。

また、3Dで作成する場合にもソリッド形状(厚みを持たせた状態の形状)で作成するか、サーフェス形状(ペラペラの面で再現した形状)で作成するかの2種類に分かれてきます。
この使い分けは解析の種類や方法によって変わってくるので、どのような解析を行うのか検討したうえでCADによるモデル作成を行う必要があります

当然、解析する対象物が正しく再現できていないと結果を正しく見ることはできないのでとても重要な工程です。

作成した形状を”メッシュ分割”する

つぎにCADで作成した形状をメッシュと呼ばれる格子形状に分割していきます。

この時作成するメッシュにも2D・3Dの2種類があり、3Dのものをソリッドメッシュ・2Dのものをシェルメッシュと呼びます。

また解析するモノの大きさや必要な精度によってメッシュ分割の粗さも変わってくるので、ここでも解析の種類を正しく判断する必要があります。

現在ではこのメッシュ作成の工程は専用ソフトによってほぼ自動でできる作業になってきているので、あまり苦労する部分では、と思っています。

嫁ちゃん

なんでこんなメッシュを作らないといけないの?

解析の設定や結果の出力はこのメッシュごとにされるんだよ!

解析条件の設定

メッシュ作成ができたらいよいよ解析条件の設定をしていきます。

解析条件には設定しなければいけない項目が複数あるので、条件の設定漏れは解析を始めたての頃は頻繁にやっちゃってました。たぶん、CAEの仕事をしている方であれば誰しも通る道ではないかと思います。

主な設定項目
  • 現物を再現するように対象物を拘束する(固定する)
  • 材料を設定する
  • 解析の種類によって、加える力の設定や、速度の設定
  • etc…

解析条件の設定の一例を挙げてみました。

比較的簡単な解析であればこの程度の設定で良いのですが、難易度の高い解析になれば設定の数も増えてくるので複雑になってくるので大変です。

解析の対象物が増えてくれば、対象物通しのつながりや関係性などを追加で設定していく必要があります。

現物を正確に再現する必要があるので、実際はどのように固定されているのか?どのような力が加わる場合を想定しているのか?周りに影響しそうなモノは存在していないか、などを事前に把握しておかなければいけません。

また、材料を設定する際にはいくつかのデータが必要になります。

  • ヤング率
  • ポアソン比
  • 密度
  • S-Sカーブ(応力-ひずみ曲線)

材料力学を勉強したことのない方には聞いたこともないような単語が並んでいるかもしれませんね(汗

解析を実行する

解析条件の設定ができたら、解析の計算を実行します。

解析の実行は、解析ソフトがすべて自動で実行してくれるので、開始のボタンを押すだけです(笑

解析のモデルサイズやメッシュの分割数によって計算にかかる時間は異なってくるので、時間のかかる計算などであれば夜中に計算させておいて、次の日に結果を確認することが多いです

解析結果を確認する

計算が終了したら解析の結果を確認していきます。

さっきも出てきたこんな感じで結果を確認することができます。

引用元:CAEソリューション : JSOL

ここで、解析が正常に終了しているのかは注意深くみていく必要があります。

  • 解析結果のアニメーションを見たときにおかしな動きをしている個所は無いか?
  • 予期していない箇所に応力が発生していないか?
  • 解析全体でのエネルギーのやり取りにおかしな箇所が無いか?

など、解析条件の設定が間違っていないかをまずは見ていきます。

解析条件にミスが無いかを確認したら、実際に解析で見たかった箇所の結果を確認していきます。

CAEでは実際には見ることができない力の大きさなどを見ていくことになるので、慣れていないときにはほんとにこれって正しいの?って疑問に持つことも多いです。

こればかりは経験を積んで、勉強していくしかないのかもしれませんね。

解析実施後のアクションは?

嫁ちゃん

結果を確認できたから、これで一つの仕事が終わりなんだね!

いやいや、まだここから続いていく仕事が多いんだよ~(汗

ボクの働いている場所では、CAEを仕事にしている人たちの作業は出力した解析結果を設計者にフィードバックするところまでで終わることもあります。解析の結果を見て、設計を見直すのは設計者の仕事になっています。

解析者は設計者に対して

「ここをこういう風に変えてあげるとよいですよ」

というのは伝えることもできますが、実際に設計にどう生かしていくのかを判断するのは設計者の仕事です。

解析後のアクションとして多いのは、解析結果を確認して設計者が形状変更した後で再度解析を実施する、といったことが多いように思います。

これを繰り返していくだけでも、実際に製品を作って実験するためのコストが抑えられます。
これがモノづくりにおいてのCAEを利用する最大の利点になります。

解決策まで示してあげることができるとカッコいいんだけどねぇ(汗

まとめ

今回はボクが普段仕事で行っているCAEの仕事について、

  • CAEの仕事内容
  • CAEの作業の流れ

について話してきました。

簡単な作業の流れのまとめ
  1. CADで形状を作成
  2. 作成した形状に対してメッシュを作成
  3. 解析設定をする
  4. 解析を実行する
  5. 結果を確認する

あまり工学系の知識を持っていない方には、難しい話が途中にあったかもしれませんが、どんなことをしているのかをボクなりにわかりやすく話してきたつもりです(汗

CAEの仕事に関して興味を持っている方・これからCAEに携わろうをしている方の参考になればうれしいです。

CAEが必要とされているのか、CAEに必要な知識についても解説しているので興味があれば覗いていってください^^

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